「ミスゼロ子」を使わない調剤は、シートベルト非着用での乗車と同様

全快堂薬局臨港店様(新潟市東区)

新潟市の全快堂薬局臨港店では、調剤過誤を防止するために (株)クカメディカルが開発したバーコードピッキングシステム「ミスゼロ子」を導入している。薬剤の取り間違い、規格間違 いを防ぐのに特に有用とし、その効果を実感しているという。 

患者との信頼関係構築に努力

全国で薬局を展開する(株)ファーマみらい(但敏之社長、本 社:東京都千代田区)が運営する全快堂薬局臨港店 (新潟市東 区)は、2004年4月に開局。新潟西港に近く、近隣の総合病院の 患者が最も多く来局する。処方箋応需数は1日70~80枚、備蓄 医薬品目数は約1400。常勤薬剤師4人、事務員3人、フロアレディ 1人の体制で、混雑時にも速やかな対応を目指しているという。 

「近くの総合病院は小児科を設けていないので、来局される 患者さんの多くは中高年~高齢者です。港が近く、工場なども近隣にあるため、外国人の患者さんもいます。どんな患者さんが来られても、それぞれのニーズを汲み取って、個々の患者さんに即した情報を提供できるように心がけています」 

こう語る同店管理薬剤師の古河原健人氏は、薬剤師本位の服薬指導にならないように努めていると強調する。 

「薬歴を記載したいがための聞き取りであってはならないと思い ます。患者さんのお話をさえぎらずに最後まで聞き、信頼関係が生まれる空気をつくることが大切。 そうすることで、私たちの服薬指導に対する協力・理解が得られ、服薬コンプライアンスも高まると考えています」 港店管理薬剤師の古河原健人氏 

今後、チーム医療の一員として 他職種との連携が深まる中で薬剤師の機能が発揮できるよう、 視野を広くし、様々な知識とスキルを身につけることも必要 だと古河原氏は話す。 

「ミスゼロ子」で得られる高い安心効果

(株)ファーマみらい(2013年8月1日付けでトモニティ(株)から(株)ファーマみらいへ商号変更)は、ファーマスクエア (株) や(株)みらいなど計7社が資源最大化と最適化目的で合併し、 2013年11月に新たなスタートを切った。全快堂薬局は旧みらいの薬局の1つだが、その系列のほぼ全店舗で導入しているの が「ミスゼロ子」である。「ミスゼロ子」は調剤カセットにバーコードシールを貼り、それをハンディ端末で読み取って調剤ミスを防止するバーコードピッキングシステム。「ミスゼロ子」のマスタには、発売されているほとんどの薬品が登録されており、 箱やシートに表示されているJANコード、 GS1-RSSコードのどちらにも対応しているため、利便性が高い。「システム構築の費用はかかりますが、調剤過誤を減らすため には『ミスゼロ子』が 有用だと判断しました」と、(株)ファーマ みらい業務管理本部情報システム部主任 の圓山貴志氏は明かす。その導入効果は明確にあらわれた、と古河原氏はいう。

「取扱品目数が増えれば増えるほど、取り間違いをしないかどうかと不安感がつ のります。 後発品の調剤が多くなればなるほど、『ミスゼロ子』 があってよかったと感じます。また、取り間違いだけでなく、 規格間違いをほぼゼロにすることも可能です」(古河原氏) 

同店では、処方箋情報をレセコンで入力後、ハンディ端末で ピッキングするのを基本としているが、薬剤数が多い場合などはレセコン入力を待たずに集薬し、レセコン入力完了後照合をかけている。そうした過程で、「レセコンの入力間違いもチェックできるのも便利」と古河原氏は話す。 

さらに、調剤カセットに薬剤を充填する時にも「ミスゼロ子」 は威力を発揮するという。「先発品の調剤を行った後で後発品に変更する場合もあり、こうしたケースでは先発品をカセットに戻すわけですが、シートのGS1-RSSコードを読み取って戻せ ば、戻し間違いのミスも防ぐことができます」(古河原氏) 

一時に多く患者が来局した時、薬剤師の人数が少ない店舗 で「ミスゼロ子」は特に有用とした上で、古河原氏は次のように指摘する。「患者さんがお帰りになった後で、調剤ミスをし ていなかったかどうか不安になることがあります。そうした 時も再度患者データを『ミスゼロ子』で呼び出して確認ができ るので、この安心感は非常に大きいと思います。また、薬剤師の年齢や経験に左右されないで使えることも魅力の1つ。今や、 『ミスゼロ子』を使わないで調剤することは、シートベルトを着用しないで車に乗るようなものだと感じています」 

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