「ミスゼロ子」の使い方を標準化しグループ店間のヘルプがスムーズに

福元薬局本店とそのグループ店では、調剤ミス防止システム「ミスゼロ子」を導入後、業務フローを標準化した。その後のコロナ禍で薬剤師がグループ他店にヘルプに行く機会が増えた時も、安心して業務にあたることができた。

地域のための薬局であり続けることを大切に

福元薬局本店は、漢方生薬の卸問屋として1972年4月に創業、2001年8月に現在地に移転し、有限会社福元薬局が経営する形態となった。現在は鹿児島市を中心とする7店舗からなる福元薬局・たいよう薬局グループを形成している
「創業者である父の代からの流れで、漢方の煎じ薬を調剤する薬局は福元薬局の名前を使い、煎じ薬を調剤しない薬局はたいよう薬局と名付けました」
2代目として経営にあたる代表取締役社長で薬剤師の沼田真由美氏はこう説明する。

同グループは地域のための薬局であり続けることを大切にしており、全店舗で在宅患者に対応している。また、薬剤師の自己研鑽も重視している。さらに、月1回グループ店の全体会議を開催し、服薬フォローやトレーシングレポートの作成などの課題について話し合い、成果につなげている。
福元薬局本店は鹿児島市の住宅街に立地。近隣の内科クリニックからの処方は7割程度で、広域の医療機関からの処方箋を受け付けている。処方箋応需枚数は800~900枚/月、備蓄医薬品目数は約1,600品目、ジェネリック医薬品使用率は約86%である。スタッフは薬剤師4人(常勤3人、非常勤1人)、事務3人(全員常勤)となっている。

単なるツールではなく、チームの一員

福元薬局本店では、2019年4月、株式会社クカメディカルが提供する調剤ミス防止システム「ミスゼロ子」を導入した。
「きっかけは、近隣クリニックのドクターが変わり、薬剤を細かく調整されることが多くなったことです。監査をフォローするシステムが必要だと考えました。そこで、展示会で複数の製品を見て回り、大きな装置を必要としない『ミスゼロ子』が私たちの薬局に合っていると判断したのです」(沼田氏)本店で数ヵ月試した後、グループ全店に順次、導入していった。「ミスゼロ子」は店舗の実情に合わせて柔軟な使い方ができるが、グループ他店の薬剤師がヘルプに入った時に、使い方が異なると困ると考え、福元薬局・たいよう薬局グループ
では、「ミスゼロ子」の導入をきっかけに、業務フローを標準化することにした。標準化には約半年をかけ、話し合いながら意思統一を図った。標準化後の使い方では、処方箋をもとにピッキングし、集薬後にハンディターミナルでバーコードを読み取り、その後、薬剤師が監査を行う。業務フローの標準化後にコロナ禍となり、グループ他店の薬剤師がヘルプに入る機会が多くなったが、標準化のおかげで安心
して業務を遂行でき、規格間違いはほぼなくなったという。
ピッキングの記録が残るので安心
宇宿たいよう薬局管理薬剤師の小島賀津乃氏は、機械が苦手で、導入と聞いて抵抗を覚えたが「使ってみたらとても簡単でした。顔見知りの患者さんが多いため、つい、いつもと同じ処方と思い込みがちになります。今では『ミスゼロ子』があるので安心して仕事ができます」と言う。また、福元薬局本店薬剤師の小齊平智恵氏は「複数の作業について同時進行で考えを巡らせることが多い中、『ミスゼロ子』の存在で業務の負荷がひとつ減りました」と話す。一方、病院から転職してきた同店薬剤師の上村円香氏は「病院ではバーコードを読み取るチェックシステムを使っていたので、転職当初、何もないことが不安でした。『ミスゼロ子』の導入と聞いて、ほっとしました」と言う。
「高齢の患者さんから、薬を正しく受け取っていないという問い合わせが入ることがあるのですが、『ミスゼロ子』による監査結果を元に投薬内容をご説明すると、ほとんどの人が納得してくれます。今は一包化での作業の標準化に取り組んでいるところです。『ミスゼロ子』はすっかり業務に溶け込んでいて、単なるツールではなく、チームの一員として捉えられています」と沼田氏は話す。

DI202303