”ミスをしない人間なんていない!”その認識から「ミスゼロ子」の導入を決断

へいわどう薬局旭店様(千葉県旭市)

千葉県内で「へいわどう薬局」を店舗展開している株式会社 ヴェリックでは、クカメディカルが開発した調剤過誤防止ピッキングシステム「ミスゼロ子」を導入。調剤ミスの確実な減 少とともに、薬剤師の時間的・精神的負担も軽減され、「患者さんに向き合う時間が増えた」という。 

“患者さんに喜ばれる優しい薬局”を目指して 

千葉県旭市は同県の北東部に位置し、南部は美しい弓状の 九十九里浜に面している。その旭市にへいわどう薬局が開設さ れたのは1994年。しかし、その歴史はさらにさかのぼる。同薬局を運営する株式会社ヴェリックの代表取締役社長、水野貴史氏 (薬剤師)はこう話す。 

「へいわどう薬局は、私の母が1975年に銚子に開局したこと から始まりました。銚子に住む皆様に愛されながら、時代とともに 成長しましたが、バブル崩壊後は次第にお客様の来店数も減っ ていきました。そんなある日、母が医療に関する勉強会に出席し た帰りに、参加者の女性から『薬剤師さんなのですね! 薬局をやっていただけませんか?』とお願いされたのです。実はその女性は 医師で、調剤薬局をやってくれる薬剤師を探していたところでした。 母は早速次の日にその先生の病院へ行き、薬局を出店することを決断し、旭店が誕生しました」 

こうした縁が重なり、現在、同社は千葉県内に6店舗を構えている。旭店では、眼科、近隣の基幹病院、特別養護老人ホーム、 重度障害者施設などの処方せんを中心に、毎月約1,500枚の処方箋を応需。3人の薬剤師と4人の事務スタッフで、患者さんに 喜ばれる優しい薬局”を志向した薬局運営を行っている。 

へいわどう薬局は、 2004年から「ミスゼロ子」 の導入を開始した。その きっかけは、水野氏の過去の苦い経験にあるという。薬剤師として駆け出しの頃、 自身の調剤ミスを反省し、当時の 上司に防止策について相談すると、「プロである薬剤師は決してミスはしないものだ」という答えが返ってきた。それ以来、“ミスをしない人間なんているはずがない”と疑問を持ち続けてきた水野氏。 そんな折、日経DI誌に掲載されていた「ミスゼロ子」の情報に目 が留まり、即導入を決心したという。2007年には全店で導入、数度のバージョンアップ、リプレイスを行いながらピッキングシステム と散薬監査システムの両方を活用し続けている。 

同社で常務取締役を務める加瀬俊男氏(薬剤師)は、「ミスゼロ子」導入のメリットを次のように捉えている。 

「調剤ミスが防止されることは当然ですが、それ以外にも大きな利点があります。それは、時間的にも精神的にも薬剤師の業務負担が減り、この分を患者さんとのカウンセリングの時間に充てることができることです。これが私たちの理念とする“地域の中で信頼される優しい薬局づくり”につながっています」 

一方、導入に伴う経済的な負担に対しては、「当たり前のことを当たり前にやるための必要最小限のコストです」と水野氏。 

「ミスゼロ子」導入による効果は確実で、特に散薬監査システムの有用性は高いという。同システムは、常用量、年齢、体重別 薬用量をあらかじめ設定することでセーフティゾーンが表示され、 調剤した薬品量が適切であるかどうかのチェックを自動で行う。 さらに、薬品違いや秤量ミスなどの際には、赤色のエラー表示と エラー音で注意喚起する。 

「『ミスゼロ子』は調剤薬局を経営するクカメディカルが開発したこともあり、実際の調剤業務に合わせたシステムづくりが成さ れています。最近ではピッキング指示書を使い、棚番順にピッキン グする機能もトライアル中で、安全・安心に加えて、効率化を図ることができます。このような新しい取り組みへの対応も高く評価できます」と加瀬氏は話す。 

DI_201706

PDFダウンロードは こちら