調剤ミス防止システム「ミスゼロ子」で対物業務を強化し対人業務の質を向上

広島大学病院前にハロー薬局、トワニー薬局、池田博愛堂薬局の3店舗を運営する株式会社サザンクロス(本社:広島県広島市)は、調剤ミス防止システム「ミスゼロ子」を活用。薬剤師の心理的な負担を軽減し、対人業務の質の向上につながる体制を構築している。

地域に深く根ざし、真心で向き合い、寄り添う
 2023年12月に30周年を迎えたサザンクロスが運営する池田博愛堂薬局は、1884年(明治17年)に創業した薬品製造業の池田博愛堂薬房を源流とする歴史を持つ。現在、同薬局とハロー薬局、トワニー薬局の併せて3店舗が、サザンクロスグループとして、広島大学病院前の半径50m圏内に立地している。 広島大学病院に最も近いハロー薬局は、先進的な薬物療法に取り組む患者や、県外、外国人など多様な背景を持つ患者の利用もあるなどの特徴がある。また、耳鼻咽喉科クリニックに隣接するトワニー薬局は、小児の患者など家族での利用が多い。一方、池田博愛堂薬局は、地元に居住する人の利用が多く、多彩な医療機関の処方箋が持ち込まれる。 グループ3店舗合計の処方箋応需枚数は約3,500枚/月、備蓄医薬品目数は約2,100品目、ジェネリック医薬品使用率は約71%である。常勤薬剤師10人、常勤事務5人で3店舗の運営にあたっている。 サザンクロスの代表取締役である井手佐氏は「地域に深く根ざし、真心を持って向き合い、そして寄り添い、常に最新の医療と地域貢献を追求しています」と語る。実際、薬学生の実習受け入れや、広島市医師会が運営する夜間急病センターでの業務などのほか、コロナ禍では広島県オンライン診療センターにおいて夜間・休日等に対応し、約200件の処方箋に応需、調剤から服薬指導、患者宅への配送までを実施した。「大手チェーン店ではできない部分を地域に根ざす私たちが担っています」と池田博愛堂薬局管理薬剤師の井手真由美氏は話す。
心理的な安心感。グループの一員として不可欠
 サザンクロスでは、2016年8月のハロー薬局を皮切りに、2021年3月に池田博愛堂薬局、同年6月にトワニー薬局において、株式会社クカメディカルが提供する調剤ミス防止システム「ミスゼロ子」を導入した。専用のハンディ端末で医薬品のバーコードを読み取り、処方箋入力情報と照合することで、調剤ミスを未然に防ぐシステムである。 初めに「ミスゼロ子」を導入したハロー薬局は、大学病院からの処方箋は、1枚の処方箋に多数の医薬品名が記載されていることが多く、薬剤師の監査の負担が大きかった。また、来店患者数も多いため、限られた広さでも使えるようなコンパクトな仕組みが必要だった。 「私自身が『ミスゼロ子』を使用してみて、ヒューマンエラーを未然に防いでくれることを実感していたため、全店舗への導入を提案しました」と佐氏は言う。これに対し真由美氏は、当初、池田博愛堂薬局での必要性には懐疑的だったが、使用してみたら手放せなくなったという。「規格間違いがほぼなくなりました。先発品と後発品もきちんと区別できます。ピッキングを手伝う調剤補助の方はもちろん、薬剤師も心理的にとても楽になり安心感があります」と真由美氏は話す。 池田博愛堂薬局では、他の2店舗に比べて入力の時間的な余裕があり、調剤した錠数をハンディ端末で入力し、在庫管理にも役立てている。
 一方、トワニー薬局では、「ミスゼロ子」のピッキング監査に加えて、散薬監査システムを利用している。処方箋入力情報に基づき、秤量すべき量がモニターにグラフで表示され、電子天秤で秤量した量が誤差内かどうか、視覚的に確認できる仕組みになっている。小児用量の登録があれば、体重当たりの最大量と最小量の範囲がセーフティゾーンで表示される。また、秤量完了後にはレシートに秤量結果が印刷される。処方データ、秤量監査、ピッキング監査の結果を記録し、各種マスター管理、エラーログも一元的に管理できる。 「薬局の特性に合わせて、さまざまな使い方をしています。『ミスゼロ子』は対物業務基盤の要となっていて、おかげで対人業務の質の向上が望めます。今やサザンクロスグループのチームの一員として欠かせません」と佐氏は話す。

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